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Author:enna
2013年6月ソルボンヌ大学美術史学部を卒業、10月にはパリで男の子を出産予定。

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贖罪

Sun.25.08.2013 0 comments
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久々の邦画

フランスで上映中の日本映画、贖罪を映画館で見てきました。日本だと2011年にWOWOWで全五話の連ドラとして放映され、すでにDVDも発売されているようですが、私が見たのは海外の映画として再編集されたインターナショナル版です。他の国は知りませんが、フランスでは現在、前編と後編の二本に分けて同時上映されています。前後編合わせて271分の長編でした。

普段は邦画ばかりか日本語のテレビやドラマすら見る機会がないし、インターネットでそういうのを積極的に見たりもしないので、久々の母国語の映像で見ていてすごい楽でした!


パリのミニシアター

フランスでの上映は今年6月頃に始まり、はじめは大きな映画館でも少しやっていたようですが、今の時期はパリでも数件のミニシアターで上映しているだけです。私の住んでいる5区はミニシアターが多くあるエリアですが、今までほとんど行った事がなかったので、行ってみる良い機会になりました。

一本目は近所のCensier-DaubentonにあるミニシアターCinema la Clef、二本目はSaint MichelにあるLe Saint Andre des Artsで見ました。

どちらもアングラなマニアックな雰囲気の映画館でした。Cinema la Clefの方は映画ファンと思われる年配の方がカップルや一人で来ているのが目立ちました。


演技派の女優陣

映画はすごい面白かったです。

原作は湊かなえの小説で、映画監督は黒沢清、主演は小泉今日子。全体が五部構成に分かれていて、それぞれの章の主演が蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、最後にキョンキョンでした。

インターナショナル版(フランス版?)では蒼井優と小池栄子の二章が前編、残りが後編でした。見ている内にどんどん面白くなっていく作品で、前編を見たら後半が気になって気になって、翌日に後編を見に行ったほどです。

あらすじは長いし複雑なので、割愛させて頂きます。

主演女優が皆さんの演技が良くて、時に安藤サクラと池脇千鶴がすごかったです。安藤サクラの役は引きこもりで頭がおかしくなっちゃう子の役だったけど、あんなにキモく演じられる女優はなかなかいないと思います。それに姉の夫を寝取って子どもまで作るという、池脇千鶴の悪女っぷりも良かったです。


子どもが事件を目撃したとき

小学生の子どもを失った麻子(小泉今日子)は事件の目撃者の四人の子どもたちが事件の手がかりを何も提供できない事に苛立ち、代わりに贖罪をしろと迫ります。か弱い存在の子どもたちは更にプレッシャーをかけられ、その後の人生にもこの事件が相当な重みになってしまいます。

小さい子というのは多感で、強烈な事件を目の当たりにすると大人以上にショックが強くて、事件直後にすべき事の判断ができないし、その経験が後の人生に強烈な影響を及ぼす、という事を考えさせられました。小池栄子は犯人の顔を覚えていたけど、事件の後は混乱していて証言できなかったと語っていました。ちょうど先日見たイギリス映画「つぐない」でも、主人公の思春期の女の子が強姦事件を目の当たりにしてショックのあまり混乱し、現実とは別の証言をしてしまうのですが、それと同じような精神状態だと思いました。

WOWOWは、これだけ質の高い連続ドラマを作っているのか、と感心しました。


湊かなえの原作

映画を見た直後、「贖罪」の話を家庭教師の生徒にしたら、偶然にも原作を持っているという事で貸してもらいました!原作が気になっていたので、借りたその日の内に一気に読みました。湊かなえの文章は読み易かったです。

原作は麻子の気持ちの変化に焦点が当てられていて、映画よりも一貫性がありました。でも、結論から言うと、映画の方が面白かったです。映画は四人の女の子のストーリーをもっと深く掘り下げていって、それを演技派の女優が演じていたので、より色彩豊かな出来になっていたと思います。

私の中で、映画は原作を超えられない、と言う原則があったのですが、この作品は原作を超えてるレアケースだと思いました。最近「レ・ミゼラブル」と「薔薇の名前」の映画を見たのですが、二本とも悪くはなかったけど、絶対に原作は超えられない、と思っていたところなので、更に唸らされました。


かなり好きです。
★★★★☆

プロヴァンス物語 マルセルの夏 / La Gloire de mon pere

Sat.10.08.2013 0 comments
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マルセル・パニョルの自伝「少年時代の思い出」(Souvenirs d'enfance)の一部、「La gloire de mon pere」の映画化。イヴ・ロベール監督、1990年の作品。

続編の「Le chateau de ma mere」と一緒に、三年前か二年前に語学学校の授業で断片的に見た事があったので、この映画を見るのは二度目でした。ちょっとセンチメンタルなマルセルの少年時代を美しい南フランスを背景に描いていて、初めて見た時から大好きになってしまった作品です。

20世紀の初頭、マルセルが少年時代を過ごしたマルセイユが舞台。夏休みに入り、一家はマルセイユ郊外へ長期でバカンスを過ごしに行きます。周りに何もない山小屋で、家族と叔父伯母夫妻と一夏を過ごす、という贅沢な夏休みが題材になっている映画です。

大した事件が起こる訳でもなく、終始ほのぼのとした調子です。景色もバカンスの過ごし方もすごく素敵。一時大戦前の平和なフランスを垣間みれました。

最後にマルセルはバカンスから現実の生活に戻りたくない、と駄々をこねますが、その様子が現代のフランス人と全く同じなのが面白かったです。フランス人は百年前から変わってないなと。

山で贅沢な夏休みを過ごす、愛情溢れる美しいファミリーの姿に癒される映画です。
★★★☆☆

つぐない / Atonement

Thu.08.08.2013 0 comments
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2007年のイギリス映画。イアン・マキューアンの小説「 贖罪」が原作。ジョー・ライト監督。

二次大戦前後のイギリスが舞台のロマンス&戦争映画。

イギリスの上流階級の別荘の場面から始まります。大学生で長女のセシリア(キーラ・ナイトレイ)と使用人のロビー(ジェームズ・マカヴォイ)は恋仲になっているけど、小説家を目指す13歳の妹ブライオニーが二人の仲を裂いてしまうという話。ある夏の夜にブライオニーの従姉妹が強姦されそう(された?)になり、ブライオニーは偏見と思い込みからロビーが犯人だと証言してしまい、ロビーは監獄へ送られる。

戦争が始まると、ロビーはノルマンディーの前線へ送られる。そしてイギリス帰還直前に死亡、セシリアも爆撃を受けたロンドンの地下鉄の駅で溺死します。ロビーが逮捕されてから、二人は二度と合う事ができませんでした。成長するに従って、ブライオニーは自分の犯してしまった罪の意識を強く感じるようになり、二人の事を小説に書く事によって少しでも罪を償おうとする、というあらすじです。


すごい良い作品でした!まずはストーリーがすごく良い。原作の小説が余程良くできているんだろうな。原作も読んでみたいです。ブライオニーの思春期ならではの残酷さが見ていて痛々しい。悲し過ぎるラストでは号泣でした。次の日の朝起きた時までセンチメンタルな気分を引きずっていた程です。

主演のキーラ・ナイトレイはすごく綺麗で上品で素敵でした。胸がないところも好感度大。ディナーの場面で着ていた緑のドレス姿は特に美しかった。その相手役のジェームズ・マカヴォイもかっこ良くて、お似合いのカップルでした。

そして映像もすっごく好みで綺麗。特に前半の別荘と、その庭の場面が美しかった。セシリアとロビーのシックな図書館での情事の場面も良いし、いなくなった従姉妹を探す夜の庭の映像はラファエロ前派の絵画みたいな怪しげな美しさでした。さらに、ノルマンディーでの、退却するイギリス兵でごった返す港でロビーが帰還する為の船を待っている場面も圧巻。戦闘シーンや爆撃シーンは一切ないけど、戦争の虚しさや不条理さが伝わってくる圧倒的な映像でした。

最高点!
★★★★★

欲望のあいまいな対象 / Cet obscur objet du desir

Wed.07.08.2013 0 comments
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1977年のルイス・ブニュエル監督最晩年の作品。フランス、スペイン合作。

フェルナンド・レイ主演の、若くて美しい娘に翻弄されるおじさんものの集大作です。

まず、舞台はパリ。老紳士マチュー(フェルナンド・レイ)は、若くて美しい小間使いのコンチータに夢中になるが、このコンチータがかなりのくせ者。騙されて一文無しだと語るコンチータにマチューはお金を与え続け、しまいには彼女までお金で買おうとするが拒絶される。コンチータは清純な顔を持っていたり、ヴィッチな顔を持っていたりする複雑な女性で、映画の中では二人の女性がコンチータを演じている。だから、マチューも観客も、本当のコンチータの姿が分からなくて翻弄される。


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二人のコンチータ。左が純粋なコンチータで、右がヴィッチなコンチータ。

マチューが彼女をお金で買おうとした事に怒ったコンチータは、母親と共にスペインのセビリアへ帰っていく。そしてマチューもその後を追う。セビリアでコンチータへ家まで買い与えるマチューだったけど、フラメンコ・ダンサーになったコンチータに再び翻弄されて怒り狂う。


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悪女のコンチータの方がマチューに殴られたところ。鼻血シーンをアップで撮らせる美しい女優は、同じ女として好感度が高いです。こっちのコンチータの方は非常なハマり役で、見ているこっちまで弄ばれてるように感じました。

怒り狂ってセビリアを去り、列車でパリへ戻ったマチュー。でも実はコンチータも同じ列車でパリまでついてきていた。映画の最後でも結局二人はまだ一緒にいて、この後もマチューが翻弄される日々が続くのだろう、というのが示唆される終わり方でした。

谷崎純一郎が晩年に「瘋癲老人日記」を書いた事と、この映画がブニュエル最晩年の作品であることを思うと、二作品の類似を思わざるを得ません。

後まで記憶に残る、完成度の高い作品です。
★★★★★

ブルジョワジーの秘かな愉しみ / Le Charme discret de la bourgeoisie

Wed.07.08.2013 0 comments
ぶる


1972年ルイス・ブニュエル監督のフランス映画。アカデミー外国語映画賞を受賞してます。

ブニュエル映画の中では印象に残らなかった方。

★★☆☆☆

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