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Author:enna
2013年6月ソルボンヌ大学美術史学部を卒業、10月にはパリで男の子を出産予定。

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着想のマエストロ 乾山見参!:サントリー美術館

Sun.31.05.2015 0 comments
パリに住んでいるお友だちが一時帰国していたので、ミッドタウンの酢重ダイニングで和食ランチ。
お友だちの六ヶ月の赤ちゃんとうちの息子と旦那さんも一緒でした。

解散後にタイミング良く息子も寝たので、ゆっくり展覧会を見るチャンス!と思いサントリー美術館へ。
旦那さんは疲れたと言って息子を連れて帰宅しました。

ということで、今回は一人でゆっくり見る事ができました。
一歳の息子がいる身で、なんて贅沢な時間でしょう。

とはいえ、閉館一時間前に入ったので、あまり時間はありませんでした。

美術館に入ると、人はまばら。
少し前に行った若冲と蕪村展の最終日とはえらい違い。
乾山展が始まったばかりだからか、人気がないのか...。

考えてみると、日本の陶芸の展覧会はすごく久しぶり。
帰国してからは一度も見てないから、前回はいつだったか思い出せない。
日本に帰ってきてからは日本美術の展覧会がすごーく楽しいので、今回もとっても楽しみにしていました。

特に、尾形光琳をはじめとして琳派の芸術は好きなので、今回も絶対に来ようと思っていましたが、予想以上に面白い展覧会でした。

尾形乾山(1663-1743)は琳派を代表する絵師尾形光琳の弟。
実家は京都の裕福な呉服屋雁金屋。
20代後半で野々村仁清から作陶を学ぶ。
1699年に京都の北西、鳴滝泉谷に窯を築き、本格的に陶工として活動を始める。

尾形家は本阿弥光悦や楽家とも血縁関係があり、作陶をするにあたって恵まれた環境にあったと言える。

鳴滝窯で生まれた特徴的なうつわのひとつが一幅の絵画のような角皿類。
絵画でうつわを飾るのではなく、絵画をそのままうつわとする。
また、これによって和歌に基づく大和絵的な色絵と、漢詩に基づく水墨画的な銹絵という、文学的・絵画的なイメージによって、それまでの京焼にはなかった「和」と「漢」ふたつの世界を鮮やかなコントラストで描き出すことにも成功する。

山水の風景に漢詩が書き込まれた図案は、詩画軸が焼き物になったようでした。

尾形乾山の色絵桔梗文盃台(江戸時代 18世紀 MIHO MUSEUM)は展覧会のポスターにもなっている盃台ですが、平面の桔梗が円筒にくっついた形が奇抜でなんとも個性的。
隣には同じ発想で作られた光琳菊の盃台もありました。


乾山の窯を経済的に支えていたのは、海外陶磁の「写し」でした。
それは中国・東南アジア・ヨーロッパなどの舶来品を珍重する文化人向けの「焼物商売」。
何より乾山自身がそうした受容者側の出身です。彼らの好みは手に取るように分かったことでしょう。
そもそも京焼には「写し物」の伝統があり、こうした一群は乾山窯を経済的に支えた主力商品のひとつだったとみられています。
あくまでオリジナルは着想の原点としてその持ち味を生かしつつ、さまざまな要素と組み合わせて新たな意匠にまとめ上げるのが腕の見せ所でした。

オランダのデルフト焼きや、中国の赤絵、更にはベトナムの阿南焼きまで模したものがありました。
乾山と言えども、商業的に成立させる為に、売れ筋の商品を作っていたのです。


そして蓋物。

鳴滝の窯では角皿類や写し物をはじめ、多種多様のうつわが作られていましたが、その中でも特に個性的なのが「蓋物」です。
丸みを帯びた柔らかな造形は、籠や漆器に着想を得たと言われています。
この蓋物に共通して表されるのが、外側の装飾的な世界と対照をなす内側のモノトーン空間です。
それはさながら蓋を開けて初めて明らかとなる「異世界」。
この世ならざる世界の扉を開けてしまうこのうつわは、未知の体験へ誘う一大イベントを演出したことでしょう。

この蓋物は素晴らしかった。

出光美術館所蔵で、重要文化財にもなっている尾形乾山「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」(江戸時代 18世紀)は有名な作品ですが、外側の松が重なる図案のデザインは斬新で目を引きますが、蓋を空けると黄青灰色の線が引かれていて、抽象の世界が広がっています。


次は乾山の食器類。

乾山窯は正徳2年(1712)、鳴滝から京都市中の二条丁字屋町(ちょうじやちょう)に移転し、懐石具を多く手掛けるようになります。懐石具自体は鳴滝時代から作られていましたが、時はまさに京焼全体が飲食器の量産に向かっていた時代。乾山も競合ひしめくこの分野で、果敢に勝負に出たのでした。
ここで乾山最大の武器となったのは、琳派風の文様や文学意匠に基づく斬新なデザインです。文様の輪郭に縁取られた向付、内側・外側の境界を超えて、水流が駆け巡る一瞬を取り出したかのような反鉢など、立体と平面の交叉するその着想は、現代の私たちから見ても遊び心にあふれ、新しく見えるものばかりです。
こうして乾山は「うつわ」の枠にとらわれない彩り豊かな懐石具で成功を収めたのです。

透かしの入ったものや、花形など変わった形の皿が多数ありました。

サントリー美術館の展覧会は、毎回きちんとした解説が書いてあるのが好きです。
特に今回は陶芸の展覧会だったので、技法や種類にも多く触れているのが分かりやすくて良かったです。

展示作品の中には、元々富本憲吉や魯山人や井上馨が所蔵していたものもありました。

私も良い陶器を使いたくなりました。
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