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Author:enna
2013年6月ソルボンヌ大学美術史学部を卒業、10月にはパリで男の子を出産予定。

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Edvard Munch, L'oeil Moderne

Mon.23.01.2012 0 comments
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Nuit etoilee, 1922-1924 Munch-Museet, Oslo




Centre Pompidouで開催されているEdvard Munch(1863-1944, Norway)の展覧会を観て来ました。ムンクは一般的には象徴主義や後期印象派に属する19世紀の画家として位置づけられる事のですが、実際には3/4の作品を20世紀に入ってから製作していて、映画や写真など当時最新のメディアにも注目してかなりの影響を受けています。この展覧会は、これらのムンクの新しいものに対する眼に焦点を当て、従来の19世紀の画家としてではなく、20世紀の画家として評価し新しい一面を提示するというものでした。

ムンクは誰もが知っている画家だけど、よく思い出してみると、私は彼の絵を見た事はほとんどなかったように思われました。2007年に東京の国立西洋美術館でムンク展が開催されていましたが行き損ねたのでムンクのまとまった展覧会を見た事は一度もなかったです。以前東京で美術関係の仕事に就いていた時にはムンクの有名な版画を扱った事はありましたが、よくよく考えてみたら今迄のムンクとの縁はそのくらいでした。

展覧会の構成はクロノロジカルに作品を並べていくという方法でなく、様々なテーマ毎に分けられていました。まず初めのコーナーは"Reprises"(くり返し)というテーマ。ムンクは同じ主題で同じ構成の絵を何ヴァージョンも執拗なくらい描きました。代表的なのは以下の主題。
・L'Enfant malade
・Jeunes Filles sur le pont
・Vampire
・Baiser
・Puberte
・Les Deux Humaines, Les Solitaire


Les Jeunes Filles sur le Pontの二枚の例です。


jeunes+filles+sur+le+pont_convert_20120123190859.jpg

Les Jeunes Filles sur le Pont 1


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Les Jeunes Filles sur le Pont 2



これらの同主題のヴァージョン違いを何枚も描いていて、例えば「ヴァンパイア」は何十枚も存在するそうです。そしてこの展覧会で面白かったのは、上に挙げた六つの主題の絵のヴァージョン違いを二室に分けて全く同じように展示していた事です。つまり、一部屋目と次の展示室で同じ主題の絵六枚が同じように飾られていたのです。ムンクが繰り返し描いていたということが分かり易いばかりでなく、非常に豪華なセレクションでした。因に"l'enfant malade"(病気の女の子)は1877年に若くして亡くなった姉のソフィーの記憶を描いているそうです。



次の展示室からはムンクの写真へ対する興味について。彼は1902年にKadak dull's eyeというカメラを購入し、それから自画像や家、海岸などの風景を撮りました。中でも自画像の数が多かったです。非常に自意識の強い人です。また、瞬間の動きを捉える写真の特徴にも関心を示していました。加えて新しいメディアであった映画の画面にも魅せられ、よく研究していました。これらの関心ははっきりと画面構成に現れています。




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Cheval au galop, 1910-12, Munch-Museet, Oslo, Norvege





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travailleurs rentrant chez eux, 1913-14


この絵はルミエール兄弟の映画"Sortie d'usine"1896を参考にしているそうです。


そして徐々に精神のバランスを崩していき、ついに1908年精神科へ入院することになってしまいます。この前後の作品がネガティブ過ぎます。当展では"compulsion"(強迫)という題でこの時期の絵が集められていました。その殆どが"une femme en pleurs a nue debout"(裸で立ちつくし泣く女)をテーマにした作品で、油絵だけでなく写真やデッサン、リトグラフ、彫刻でも同じ主題の作品を創っていました。この女性たちに囲まれて、非常に負のオーラで満ちた空間になっていました。


精神病を克服してからの作品は少し様子が変わりました。次の展示室は"Rayonnements"(光)というタイトルで光に関する作品が集められていました。このブログの冒頭に載せた"Nuit etoilee"もこのテーマの中で展示されていました。



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Le soleil, 1910-1913 Munch-Museet, Oslo


人間の死や恐怖、悲しみなどネガティブな感情を描く事の多いムンクの作品の中で、この太陽を描いた大作は、温かい光に満ちていて明るい力を感じる数少ない作品でした。この作品が観れて、なんだかほっとしました。

この後にはムンクの撮影したショートフィルムの作品を上映していたり、晩年になってからの自画像の油彩、写真などが展示されていました。

全体的に不安、恐怖、死、孤独、嫉妬などネガティブな表現がほとんどだったので、展覧会を見終わった後には非常に疲れていました。消耗した感じがしました。ムンクを観るのはごくたまにだけで充分だと思いました。



2012年1月23日迄
HP:
http://www.centrepompidou.fr/Pompidou/Manifs.nsf/0/B7B16198B955CF3BC1257824003508B8




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