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Author:enna
2013年6月ソルボンヌ大学美術史学部を卒業、10月にはパリで男の子を出産予定。

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Paul Klee Polyphonies, Cite de la Musique

Sun.15.01.2012 0 comments
klee_expo.jpg



イタリア旅行のブログを書いている途中ですが、今回は中断して今日見て来たパウル・クレーの展覧会について書きます。「Polyphonies(多声音楽)」と題されたこの展覧会はCite de la Musiqueという名前の通り音楽のコンサートなどをするホールに付随している小さめの美術館で開催されています。いつも音楽関係の展覧会を企画していて、今回も音楽家の家庭に育ち、自身も一度は音楽家を目指したクレーの芸術活動を音楽の側面から探求するという視点で構成されていました。小さめの美術館なので、今まで開催していた企画展は宣伝活動もあまりしないし、あまり話題に上るような展覧会は少ないのだけど、今回は評判がとてもよく、雑誌やテレビでも頻繁に取り上げられていました。私の率直な感想を結論から書くと、はっきりとした見方を提示していて、とても面白い展覧会でした。

展覧会はちょうど今日1/15(日)が最終日で、混雑することが予想されたので開館時間の10時に会場へ行きました。そしたら既に長めの列ができていましたが十分くらい待って入れました。

会場では全員にオーディオガイドを貸し出していて(フランス語のみでした)、解説が聞けると同時に関連する音楽が聴けるようになっていました。ガイドの数が多い事に加えて流れるクラシックの演奏時間が長いので、間を空けずにガイドを聞き続けても二時間以上はかかるような内容でした。例えばまだ音楽家を目指していた若きクレーが好んだモーツァルトやベートーベン、それから当時のコンテンポラリーの作曲家アルノルト・シェーンベルクの音楽と、それを表現した"la nouvelle musique"と題されたクレーのデッサンが展示してあったりしました。印象的だったのはクレーが1914年からチュニジア旅行中だった時の解説はその地の音楽が流れたことです。クレーはその旅行へ出た事をきっかけにカラフルな街並みに感銘を受け、以降絵には色彩が増えて作風ががらりと変わるのですが、この展覧会の解説ではチュニジアで聞いた音楽もクレーに影響を与えているとのことでした。チュニジアの音楽がクレーにどのように聞こえたかは分かりませんが、現地の音楽が何らかのインスピレーションを与えたという見方そのものが面白いと思いました。







klee.png

「フーガ」水彩 鉛筆 紙、 個人蔵、1921年


印象に残った一枚。右から左、または左から右にかけて陶芸が反復するように描かれたこのフーガという水彩は、タイトル通り音楽のフーガを表現したものです。この絵のオーディオガイドでは一通り解説をした後にフーガの曲の例が流れ、絵を前にしてフーガを聞くと絵から音楽が流れてくるようでした。

オーディオガイドには子どもを対象とした解説も多く、子どもたちが解説の番号札を探して、真剣に絵を見ながらガイドを聞いている様子が印象的でした。他の展覧会よりも子どもが楽しそうに見えたのは気のせいでしょうか。子どもは音が鳴るものが好きだから、解説の言葉だけでなく、音楽が流れるのが良かったのかもしれません。


今までクレーの展覧会はパリと東京で数回見たし、それに最も優れたクレーのコレクションを所蔵しているベルンにあるクレー美術館へも行ったけれど(もう七年前の事なので若干記憶が薄れていますが)、今回の展覧会はどの展示よりも私にとっては一番面白いクレーの展覧会でした。展示作品がとても良い有名な作品ばかり、という訳ではないけれど、ここまで人を惹き付ける展示が出来たのは、一重に企画者の視点をうまく展示できたからだと思いました。クレーと音楽の関係性を分かり易く展示し、私にとって新しい見方を提示してくれたのが何よりも良かったです。日本では西洋美術に関するこんなに面白い展覧会はなかなか見られないので、パリに住んでいて良かった、としみじみ感じました。







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