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Author:enna
2013年6月ソルボンヌ大学美術史学部を卒業、10月にはパリで男の子を出産予定。

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Pinacoteca Ambrosiana

Thu.05.01.2012 0 comments
昨日に書いたブレラ絵画館に続き、今日はミラノにある重要な美術館、アンブロジアーナ絵画館について書こうと思います。アンブロジアーナの名はミラノの守護聖人である四世紀に実在したミラノ司教アンブロジウスから取っているそうです。絵画館よりも先にまずは隣接するアンブロジアーナ図書館(Biblioteca Ambrosiana)が1607年に枢機卿フェデリーコ・ボッローメオ(1564–1631)によって設立され、その後寄贈により絵画コレクションが増え、絵画館を設立するに至ったそうです。図書館はヨーロッパではオックスフォード大学図書館、ローマのアンジェリカ図書館に続いて三番目に古い公開図書館で、17世紀にはレオナルド・ダ・ヴィンチの<アトランティコ手稿>12巻が寄贈されています。この手稿の一部は現在図書館の中で公開されていて見る事が出来ました。美術館の建物は昔の貴族の館のような雰囲気で、床や壁の至る所に美しいモザイクが施されていました。地上階の床にはローマ時代に作られた人物を描いたモザイクが一部残っていて、この場所の歴史の長さを感じました。






madonna.jpg

Sandro Botticelli, Madonna and Child with Three Angels (Madonna del Padiglione)
サンドロ・ボッティチェリ<聖母と三天使(天蓋の聖母)>1493年

展示室は二階(日本式で)へ上がった所から始まりました。まず一室目にはボッティチェリ(1445-1510)の作品二枚が贅沢に展示されていました。まず一枚目は上の画像のアンブロジアーナ美術館所蔵<天蓋の聖母>、そしてもう一枚はロンドン、ナショナル・ギャラリー所蔵の<神秘の降誕>でした。







Botticelli_Nativity-thumbnail2.jpg

Sandro Botticelli, The Mystical Nativity, 1501
ボッティチェリ<神秘の降誕>1501年、National Gallery, London

この絵は非常に謎の多い絵として有名で、今まで多くの研究者によって色々な説が唱えられてきました。中央のマリアとイエスとヨセフの周りを除いて他の部分はキリストの降誕図としては異例で、上方の天使や下方の抱き合う天使と人間など、降誕図では普通描かれない図像がたくさん描き込まれています。しかも輪になって踊る天使の上にはボッティチェリ本人によってギリシャ語で次のような謎の文章を書いています。「私サンドロは、1500年の末、イタリアの苦難の最中に、ひとつの時代とその半分の時代の後、すなわち聖ヨハネの書第十一章に記される三年半の間悪魔が解き放たれるという黙示禄の第二の災いの時に描いた。やがて悪魔はその後、第十二章で述べられるように鎖につながれ、この絵画のように...されるのを見るのであろう。」この文章は非常に謎めいていて解釈は多岐に及んでいますが、一般的な解釈としては、悪魔が一時的に世を支配するが、最終的には神の栄光がある、というのが主題と考えられています。この解釈に言及するときりがないので、この辺で書くのを止めようと思います。興味がある方は高階秀爾著「ルネッサンスの光と影」という本の第四章でこの絵について詳しく述べてあるので参考にされて下さい。

ボッティチェリは本当に奥が深い画家です。彼の絵画は当時のフィレンツェの動向をよく反映していて、<ヴィーナスの誕生>や<春>を描いた1470、80年代にはネオ・プラトン主義に傾倒してギリシャ神話をモチーフとした絵を制作しているし、90年代にはフィレンツェを一時期支配した僧サヴォナローラの影響を受けていたと言われていて、以前とは画風が非常に変わっています。彼の図像を読み解くには当時のフィレンツェの社会の変化を知る事が必須だし、絵の中にも様々な謎めいた要素を盛り込むので難解ですが、謎解きをするのは面白くもあります。この旅行で<神秘の降誕>を見た後フィレンツェでも何枚もボッティチェリの名画が見て、ますます奥が深い作家だと思うようになりました。







DSC_0108_convert_20120105194949.jpg

Raphael, The School of Athens
ラファエロ・サンティ<アテネの学堂>下絵

言わずと知れたヴァチカン宮殿ラファエロの間を飾るフレスコ画<アテネの学堂>の下絵です。下絵がこれだけ大々的に展示されるのは珍しいです。でも、下絵を見てもあんまり面白くありませんでした。







Caravage.jpg

Caravaggio, Basket of Fruit, 1596
カラヴァッジョ<果物籠>

昨日ブログで書いたブレラ美術館では残念ながら貸し出し中で見られなかったカラヴァッジョ(1571-1610)ですが、アンブロジアーナでは見れました!この絵は本当に見事でした!目の前に本物の果物籠があるようにリアル。林檎や葉はわざと新鮮な部分と腐りかけている部分を描いています。カラヴァッジョは光と影のコントラストを強調した人物をテーマに描く事が多く、この絵のように静物のみの絵は他には思い当たらないのですが、果物だけでこれだけ存在感のある絵を描ける事が非常に驚きでした。







Leonard.jpg

Leonardo da Vinci, Ritratto di Musco
レオナルド・ダ・ヴィンチ<楽師の肖像 >

そして最後にアンブロジアーナ絵画館が最も大事にしているこのダ・ヴィンチの絵が見れる!と思っていたのですが、なんと貸し出し中でした...。ありえないーー。National Gallery Londonで展示しているそうです。どうやらボッティチェリの<神秘の降誕>と交換したようです。

ダ・ヴィンチの油彩が見れなくてショックを受けながら順路を進んで行くと、図書館につきました。そこでは前述のダ・ヴィンチによる<アトランティコ手稿>が展示されていましたが、手稿を見た所で油彩が見れなかったショックは全く回復されませんでした。おそらく手稿に書かれたアイディア自体はとても斬新で面白いのだろうけど、手稿を見ただけでは何が書いてあるのか分からないので、それだけ展示されても面白くはなかったです。解説イタリア語しかないし。価値があるは十分承知していますが。それに比べて数年前に森美術館が開催していたダ・ヴィンチの手稿に関する展覧会は日本語で親切な解説パネルがたくさんあって分かり易かったな、と思い返しました。


さて、美術館を見終わって振り返ると、アンブロジアーナには申し訳ないけど一番記憶に残ったのはNational Galleryが持っているボッティチェリの<神秘の降誕>でした。次はカラヴァッジョの静物です。

ところで、この美術館の照明は非常に見にくかったです。それぞれの絵に個別に証明器具が付けられていて、かなり至近距離から光が当てられています。私は身長が151cmなのですが、私の背丈だと正面から絵を見るとほぼ全ての絵が光を反射していて見にくい、というか見えなかったです。なので、常に斜めから絵を見る事になりました。加えて、この内容で入場料が15ユーロというのは高過ぎると思います。ブレラ絵画館もルーブルも7ユーロ位なのに。二次大戦中に甚大な被害に遭い、スカラ座で行われていたオペラの台本のコレクションの大部分等、たくさんのコレクションが失われたらしいし、建物もかなり破壊されてしまったそうで、その修復工事が最近まで行われていたので財政不足なのでしょうか。でも、それにしても高いです。しかも私たちが行った日は目玉のダ・ヴィンチがなかったので、かなり損した気分になりました。イタリアを旅行しているとほとんどの美術館でEU圏以外の学生には学生割引すらないし、外国人観光客からお金を取ろうという意志が見え見えの事があるので、時々イラっときます。

ちょっと文句も書きましたが、ボッティチェリとカラヴァッジョが見れたので良かったです。








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