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Author:enna
2013年6月ソルボンヌ大学美術史学部を卒業、10月にはパリで男の子を出産予定。

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Samourai - armure du guerrier

Sun.29.01.2012 0 comments
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ケ・ブランリー美術館で日本の鎧や兜を展示する展覧会、"Samourai"展が開催されています。大人にも子どもにも大人気で、連日長蛇の列を作るほどだと聞きました。日本で鎧の展覧会があるとしても、そんなに人気は出るとは思えないけど、なぜフランスではそんなにうけるのか興味がわき見てきました。

私たちが行ったのは1月28日土曜日で展覧会終了の前日でした。大変な人気があったため、その日と最終日のみ22時まで開館時間が延長されていたので、仕事帰りに見に行けました。美術館に着いたのは19時頃でしたが、入場まで一時間待ちました。噂通り混んでいました。

展覧会で紹介されていたのはGabriel Barbier-Muellerというコレクターのコレクションでした。ジュネーブやバルセロナに美術館を持つコレクターJean-Paul Barbier-Muellerの息子で、有名なコレクター・ファミリーの人です。

会場に入ると、まずは鎧二対が飾られていました。私にとっては特に特徴のある面白い鎧ではなかったのですが、周りのフランス人たちは何とも真剣な表情で眺めていたり、熱く語っていたり、写真を撮っていたり、すごく興味深そう。やはり展示品が鎧だけあって、他の展覧会よりも圧倒的に男子率が高かったです。彼らが携帯で一生懸命に鎧の写真を撮っている姿は何とも印象的でした。因にケ・ブランリー美術館は全館写真撮影okです。

展覧会のイントロダクションの隣には縄文時代から明治時代までの日本のざっくりした年表がありました。日本史に関してほとんど知識の無いフランス人に向けてかなり簡略化された年表でした。

会場は鎌倉時代から桃山時代までと、江戸時代にざっくり分けられていて、特にコレクションの集中している江戸期はテーマ毎に分けられていました。鎌倉、南北朝、室町辺りまでは、いわゆる日本の鎧や兜でそんなに工夫を凝らした変わったものは眼につきませんでしたが、桃山時代以降は様子が変わってきて、どんどんオリジナリティ溢れる鎧が作られるようになったようです。特に「変わり兜」は色んな種類があって面白かったです。例えば茄子の形をした兜や、兜の上に髪の毛を植え込んでいる頭形(ずなり)、烏帽子の形になっているもの、炎が上がっているようになっている宝珠形など。他には頭に不動明王が乗っていたり、上のポスターの写真のように天狗の形になっていたり。私も見たことのない変わったものばかりでした。すごくキッチュ。江戸期の人々のユーモアに関心しました。これらの兜は平和な江戸期に実際の戦いの為ではなく、大名行列などで「見せる為」の兜だったそうです。

日本刀の作り方を紹介する映像もありました。これは私もほとんど知識がなかったので面白かった。日本刀を作るのは複数の行程を踏んで、何人もの人が分業で作るようでした。堅い鉄と柔らかい鉄を温め、叩いて延ばしてという作業を繰り返して鉄の層を作り、成形していきます。その後錆び止めを塗って再び焼いて冷やした後研いて出来上がりでした。映像は25分という長さでしたが、ほとんど見ました。隣のフランス人のおじ様たちも興味津々で見てました。他には馬具や鐙、弓矢、鉄砲なども展示されていました。

日本でこの手の展覧会が開催されていても見に行かないだろうから、今回見れて良かったです。そして日本の鎧がこんなに面白いという事が分かって良かった。それにSamourai展を見るフランス人も見れて良かったです。ヨーロッパにいると、彼らがあまりに日本の事を知らない事に愕然とする事もあります。日本は西洋の物をたくさん受け入れて、映画やTVなどあらゆる形で欧米のものや文化に触れる機会があり、義務教育でも英語を学んで、どんな人でも多少なりとも欧米文化について知識があります。一方、欧米人は義務教育ではもちろん非ヨーロッパ語は学ばないし、欧米の歴史以外はほとんど勉強していません。それに日常生活の中で日本やアジアの文化に触れる機会ってなかなかないです。情報があってもすごく偏っています。例えば、ほとんどのパリジャンは「日本食が好きだ」と言ってきますが、実際は寿司と焼き鳥しか知らないし、日本人はほぼ毎日寿司食べてると思ってます。こんな感じで、普通の欧米人は日本やアジアの話になると、びっくりするようなトンチンカンな事を言ってくる事もあります。欧米人の日本に対する理解って残念ながらそんな状況です。それでも、分からないながらも、特にパリでは日本文化に対する人気はすごくあります。非西洋の文化の中では間違いなく日本文化が一番人気だと思います。それがこの展覧会の成功に表れています。もともとの日本に対する知識はあまりないものの、断片的に入って来る日本の文化に興味を持ち、理解しようと努力してくれています。この展覧会はそういったパリジャンたちの嗜好に応えるものでした。パリジャンが熱心に日本の鎧を見たり、子どもたちが兜の絵を描いている様子はすごく嬉しかったです。こういった文化交流を通じて、今後ますます日本に対する理解が深まって欲しいものです。

展覧会紹介ビデオ







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Persepolis

Wed.25.01.2012 0 comments
ペルセポリス

テレビでBDのペルセポリスをやっていたので見ました。イラン系フランス人マルジャン・サトラピの作品で、彼女のイランとヨーロッパでの半生を描いたアニメです。幼い頃にイラン革命が起き、その翌年にイラン・イラク戦争が勃発。高校時代には欧州で亡命生活を送るものの数年後に帰国し、テヘランの大学を卒業した後に結婚、その後離婚してパリへ発つ、というストーリーでした。革命中のテヘランを子どもの目線から、そして革命後の政府の弾圧を女性の目線から描いていて、一般人にとっての当時のテヘランの様子が伝わってきて興味深かったです。マルジャンはすごく気が強い女性で、不満があると警察や教師に対して言いたい事をはっきりと言うのが気持ち良かったです。





Edvard Munch, L'oeil Moderne

Mon.23.01.2012 0 comments
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Nuit etoilee, 1922-1924 Munch-Museet, Oslo




Centre Pompidouで開催されているEdvard Munch(1863-1944, Norway)の展覧会を観て来ました。ムンクは一般的には象徴主義や後期印象派に属する19世紀の画家として位置づけられる事のですが、実際には3/4の作品を20世紀に入ってから製作していて、映画や写真など当時最新のメディアにも注目してかなりの影響を受けています。この展覧会は、これらのムンクの新しいものに対する眼に焦点を当て、従来の19世紀の画家としてではなく、20世紀の画家として評価し新しい一面を提示するというものでした。

ムンクは誰もが知っている画家だけど、よく思い出してみると、私は彼の絵を見た事はほとんどなかったように思われました。2007年に東京の国立西洋美術館でムンク展が開催されていましたが行き損ねたのでムンクのまとまった展覧会を見た事は一度もなかったです。以前東京で美術関係の仕事に就いていた時にはムンクの有名な版画を扱った事はありましたが、よくよく考えてみたら今迄のムンクとの縁はそのくらいでした。

展覧会の構成はクロノロジカルに作品を並べていくという方法でなく、様々なテーマ毎に分けられていました。まず初めのコーナーは"Reprises"(くり返し)というテーマ。ムンクは同じ主題で同じ構成の絵を何ヴァージョンも執拗なくらい描きました。代表的なのは以下の主題。
・L'Enfant malade
・Jeunes Filles sur le pont
・Vampire
・Baiser
・Puberte
・Les Deux Humaines, Les Solitaire


Les Jeunes Filles sur le Pontの二枚の例です。


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Les Jeunes Filles sur le Pont 1


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Les Jeunes Filles sur le Pont 2



これらの同主題のヴァージョン違いを何枚も描いていて、例えば「ヴァンパイア」は何十枚も存在するそうです。そしてこの展覧会で面白かったのは、上に挙げた六つの主題の絵のヴァージョン違いを二室に分けて全く同じように展示していた事です。つまり、一部屋目と次の展示室で同じ主題の絵六枚が同じように飾られていたのです。ムンクが繰り返し描いていたということが分かり易いばかりでなく、非常に豪華なセレクションでした。因に"l'enfant malade"(病気の女の子)は1877年に若くして亡くなった姉のソフィーの記憶を描いているそうです。



次の展示室からはムンクの写真へ対する興味について。彼は1902年にKadak dull's eyeというカメラを購入し、それから自画像や家、海岸などの風景を撮りました。中でも自画像の数が多かったです。非常に自意識の強い人です。また、瞬間の動きを捉える写真の特徴にも関心を示していました。加えて新しいメディアであった映画の画面にも魅せられ、よく研究していました。これらの関心ははっきりと画面構成に現れています。




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Cheval au galop, 1910-12, Munch-Museet, Oslo, Norvege





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travailleurs rentrant chez eux, 1913-14


この絵はルミエール兄弟の映画"Sortie d'usine"1896を参考にしているそうです。


そして徐々に精神のバランスを崩していき、ついに1908年精神科へ入院することになってしまいます。この前後の作品がネガティブ過ぎます。当展では"compulsion"(強迫)という題でこの時期の絵が集められていました。その殆どが"une femme en pleurs a nue debout"(裸で立ちつくし泣く女)をテーマにした作品で、油絵だけでなく写真やデッサン、リトグラフ、彫刻でも同じ主題の作品を創っていました。この女性たちに囲まれて、非常に負のオーラで満ちた空間になっていました。


精神病を克服してからの作品は少し様子が変わりました。次の展示室は"Rayonnements"(光)というタイトルで光に関する作品が集められていました。このブログの冒頭に載せた"Nuit etoilee"もこのテーマの中で展示されていました。



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Le soleil, 1910-1913 Munch-Museet, Oslo


人間の死や恐怖、悲しみなどネガティブな感情を描く事の多いムンクの作品の中で、この太陽を描いた大作は、温かい光に満ちていて明るい力を感じる数少ない作品でした。この作品が観れて、なんだかほっとしました。

この後にはムンクの撮影したショートフィルムの作品を上映していたり、晩年になってからの自画像の油彩、写真などが展示されていました。

全体的に不安、恐怖、死、孤独、嫉妬などネガティブな表現がほとんどだったので、展覧会を見終わった後には非常に疲れていました。消耗した感じがしました。ムンクを観るのはごくたまにだけで充分だと思いました。



2012年1月23日迄
HP:
http://www.centrepompidou.fr/Pompidou/Manifs.nsf/0/B7B16198B955CF3BC1257824003508B8




Diane Arbus

Sun.22.01.2012 0 comments
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Child with Toy Hand Grenade in Central Park, New York City (1962)




イタリア旅行の記事を書きたいのですが、なかなか進みません。年が明けて仕事が始まってしまったので時間を作るのが難しいです。それにパリで見た展覧会でも書きたい事が色々あるので、更に進まないです。そして今回もパリでの展覧会についてです。

コンコルド広場に面し、オランジュリー美術館の向かいに位置するJeu de Paumeで開催中のアメリカ人女性写真家ダイアン・アーバスDiane Arbus(NY, 1923-1971)の回顧展を見て来ました。Jeu de Paumeはよく写真の展覧会を企画していますが、いつも良い作家の作品を集めていて、なかなか面白い展覧会が多いです。今回のDiane Arbus展は彼女の代表的な作品のほとんどを含む約200点を展示するフランスでは初の大きな回顧展でした。48歳の若さで自殺した彼女は、主に60年代に活動していて、本展でもその頃の作品が中心でした。作品のほとんどがポートレイトで、モデルとなっているのは当時のアメリカ人で、多くは小人やおかま、ヌーディスト、ヒッピー、サーカス団員、巨人、愛国主義者など社会から多少逸脱している人々でした。60年代を生きた様々なアメリカ人たちを前にして当時に思いを馳せ、なかなか面白かったです。上の写真はオモチャの手榴弾を持つ子どもで、表情が非常に憎たらしいです。







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A Young Waitress at a nudist Camp NJ, 1963


ヌーディストたちの写真はかなり印象的でした。上の写真は若い女の子でカワイイですが、他にもかなり高齢のヌーディスト夫婦の写真も多数あり、強烈でした。







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因に入場迄40分程待ちました。
2012年2月5日まで
http://www.jeudepaume.org/index.php?page=article&idArt=1470&lieu=1

Bruegel, le Moulin et la Croix

Mon.16.01.2012 0 comments
16世紀のフランドルの画家ピーテル・ブリューゲルを題材にした映画"le Moulin et la Croix"と見て来ました。日本では「ブリューゲルの動く絵」というタイトルで公開されているそうです。ブリューゲルの一枚の絵の中に入り込み、その登場人物たちの生活を覗くことによって作品を読み解く、という内容でした。ブリューゲルの絵は結構好きなので、この映画も公開前から楽しみにしていたのですが、実際見てみたら残念ながら正直イマイチでした。




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The Procession to Calvary, 1564
十字架を担うキリスト、1564年 124×170cm ウィーン美術史美術館


映画の中で扱われているのは一枚のこの絵で、様々な登場人物たちが描かれています。絵の主題はタイトルにもなっている画面中央の十字架を担ぐキリストと、息子の受難を嘆く画面右手前のマリアでしょう。映画の中でもこのストーリーがクローグアップされていました。ただし、このキリストは神の息子のあのキリストではなく、宗教改革の中で迫害された殉教者として描かれ、周りにいる赤い制服を着た騎馬兵は当時フランドルを制圧したばかりのスペイン兵として登場してきました。映画の中ではカトリック・スペインの兵隊が新教徒たちに言いがかりをつけて迫害する、という場面がたくさんでてきました。一方、ブリューゲル自身が登場する部分は非常に少なくて、登場人物たちのスケッチをする位の場面しか出て来ませんでした。そんな感じで、迫害する側のカトリック・スペイン側と迫害される可哀想な新教徒フランドル人、という主題で映画のほとんどが占められていて、最後の方は退屈しました。確かにこの絵はそのような内容ですが、ブリューゲル自体はこんな政治的な内容の絵ばかりを描いているのではなく、もっと農民の日常生活や動植物の絵を描く事が多かった画家です。私としては、ブリューゲルの描く自然の長閑な雰囲気や、人物や動植物に対する鋭い観察眼に魅かれるので、そういう点にもっと焦点を当てて欲しかったと思いました。映画のコンセプトは面白いから、もうちょっと短かくショートフィルムにして間延びしないようにしたら良いのかもしれません。




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